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今回は、職員から家族の介護のため退職の申し出があった医院からのご相談です。
職員から退職の申し出がありました。退職理由を聞いてみると、遠方の実家に住む母親が介護が必要な状態になったということで、母親を介護するために実家に戻るというものでした。当院としては何とか勤務を継続してほしいと考えています。よい解決策はないのでしょうか。
仕事と家族の介護の両立は、団塊の世代の高齢化に伴い、大きな課題となりつつあります。家族の介護を決心した職員の退職を無理やり引き留めることはできませんが、職員に育児・介護休業法で定められた「仕事と家族の介護の両立を支援する制度」を適切に利用してもらいながら、継続して働くことができるように促したいものです。
育児・介護休業法では、仕事と家族の介護の両立を支援するために、事業主に対し、家族の介護をする職員が以下のような制度を利用することができるようにすることを義務付けています。
[介護休業]
通算93日、3回まで分割して取得できる休業
[介護休暇]
家族の介護やその他の世話のために取得できる休暇
[所定外労働の制限]
残業が免除となる制度
[時間外労働の制限]
残業を一定の時間数までに制限できる制度
[深夜業の制限]
22時から翌5時までの深夜業が免除となる制度
[短時間勤務等]
所定労働時間を短縮すること等ができる制度
いずれの制度も、対象となる職員が事業主に申し出したり、請求したりすることで利用できるものになっています。
両立支援に関する制度は、要介護状態の家族の介護のためなどに利用できるものです。この要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことを指します。なお、必ずしも家族が介護保険制度の認定を受けている必要はありません。
対象になる家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫です。いずれの家族にも同居の要件はないため、遠方に住む家族であっても対象となります。
団塊の世代が高齢化していることもあり、今後、仕事と家族の介護の両立に関する課題はますます大きくなることが想定されます。介護に係る両立支援に関する制度は、現状、職員に浸透していない可能性もあるため、家族の介護を理由とした退職の申し出があった場合には、制度を利用することで離職を防止できないか、一緒に考えたいものです。