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今回は、職員に36協定を超える残業があった医院からのご相談です。
残業の多い職員が1名います。早く帰るように促してはいるものの、先月は48時間の残業になってしまいました。
当院の36協定は1ヶ月当たり45時間としているため、36協定違反の状態にあると思います。
協定で定めた時間数を超えてしまったことについて、労働基準監督署に届け出が必要なのでしょうか。
36協定で定めた時間数を超える残業があったとしても、労働基準監督署に届け出をする必要はありません。
ただし、労働基準法違反であるため、早急に残業の削減策を検討の上、実施するとともに、特別条項を加えることも検討しましょう。
労働基準法では、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて働かせてはならないと規定しています(法定労働時間)。法定労働時間を超えて働かせるときは、あらかじめ時間外・休日労働に関する協定(36協定)を締結し、事業所を管轄する労働基準監督署に届け出する必要があります。
36協定では、1日、1ヶ月および1年について、法定労働時間を超えて延長できる時間数(以下、延長時間数)を定める必要があります。
原則の労働時間制度を採用している医院では、1ヶ月当たりの延長時間数の上限は45時間であり、1年当たりの延長時間数の上限は360時間です。
そのため、36協定では原則として、この時間数以内の時間数で締結し、日々、残業の時間数を管理する必要があります。その際、万が一、実際の残業の時間数が、締結した延長時間数を超えたとしても、労働基準監督署に届け出や報告をする必要はありません。
ただし、労働基準法に違反しているため、労働基準監督署の調査が実施されたときには、是正勧告が行われる可能性が高い状況となります。
1ヶ月当たり45時間を超えるような残業は可能な限り避ける必要があり、より一層、残業を減らす取組が求められます。また、1年間の残業時間数が、延長時間数に迫っている可能性もあります。
一方で、今後も1ヶ月当たり45時間を超えるような残業が見込まれるときは、36協定に特別条項を加え、万が一、45時間を超えたとしても、労働基準法の違反とならないようにすることも必要になってくるでしょう。
特別条項の設定や運用に関しては、多くの留意点があるため、厚生労働省が公開するリーフレット等を参考に、適正に進めることが求められます。