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2024年度税制改正における賃上げ促進税制の拡充により、診療報酬や介護報酬等の処遇改善の評価を原資として行った賃上げも、税額控除の対象となりました。このことについて、10月24日に国税庁より趣旨説明が公開されていますので、今回はその内容に注目したいと思います。
賃上げ促進税制は、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主の場合は所得税)から税額控除できる制度です。
このとき、一定の補助金等を利用して給与等の支給額を増加させた場合には、その給与等の支給額からその補助金等の額を「補填額」として控除します。つまり、「補助金等を原資に行った賃上げ分には、税額控除を適用できない」ということになります。
では、診療報酬による「看護職員処遇改善評価料」や介護保険による「介護職員処遇改善加算」を受けて賃上げを行った場合、これらは「補填額」に該当するのでしょうか?
この点はこれまで、法令上明確にされていなかったのですが、2024年度税制改正により、これらの額は補填額に含まれず、賃上げ促進税制の税額控除を適用できることが明示されました。改正法では、以下のように記載されています。
租税特別措置法関係通達
第42条の12の5《給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除》関係
(2)看護職員処遇改善評価料の額及び介護職員処遇改善加算の額のように、イからハまでに掲げる報酬の額その他これらに類する公定価格(法令又は法令に基づく行政庁の命令、許可、認可その他の処分に基づく価格をいう。)が設定されている取引における取引金額に含まれる額
つまり、看護職員処遇改善評価料と介護職員処遇改善加算以外にも、診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬の額は補填額に含まれず、これらを用いて行った賃上げ額は税額控除の対象となります。
国税庁が今回公表した趣旨説明は、以下のサイトでご確認ください。
[参考]
国税庁「令和6年6月21日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明」